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2024年1月

2024/01/26

KM原さんのこと

2023年の冬の始まりの頃、隣のマンションに住んでいて、以前犬を飼っていたので顔見知りのおばあちゃんが、ノックをして立っていたんです。

その時は院内にダンナ一人しかおらず、「どうしたんですか?」と尋ねると、「電気が3日間つかへんねん。」とのこと。

よくよく話を聞くと、鹿児島に2ヶ月間遊びに行ってて帰って来たら電気が止まってたということでした。電気代を携帯電話会社の電話代とセットにしていて、毎月コンビニで支払いをして銀行引き落としにしていなかったので、2ヶ月留守をしていた間に電話代を支払わなかったため、電気も電話も止まったのが判明しました。

電話は相手からかかって来た時だけ出られますが、自分からはかけられないため電話会社に連絡も取れないし、帰宅して気がついて電話代を支払ったのに電気が3日間つかないとのことでした。

ダンナが関西電力に連絡して直接契約にしてもらったところ、一瞬で電気がついたと言って「ワシええことしたやろ〜。」とダンナが自慢してました。


冬に電気が3日間つかないなんて、可哀想なおばあちゃん。

そう思ってたら今度は、家に帰って来たら鍵がなくて入れないと言い出しました。

これもよくよく聞くと、鍵を閉めてから横の窓から鍵を投げて家に入れていることがわかりました。

「こりゃ、おばあちゃん認知症になってるな。」と母のことを思い出しました。

とにかく家に入れないと夜中に凍えてしまうかもしれない。おばあちゃんはカラオケ友達がたくさんいたので、鍵がなくて家に入れない時は友達の家を泊まり歩いていたらしい。

その時は自分でなんとかすると言うので一旦帰宅しましたが、夜になって雨が降り出し、心配になって110番して「迷子のおばあちゃんがいたら知ってる人かもしれないです。」と伝えたところ、おばあちゃんは無事にパトカーに乗って帰宅し、不動産屋も呼ばれて鍵を開けてもらえたみたいでした。


110番に出た方は、心配なことがあったら遠慮せんと110番してくださいねと言ってくれました。


ある夕方に、またマンションの前におばあちゃんが佇んでいて、「友達の家から帰ったら鍵がないねん。」と言うのです。友達も鍵がないと知ってて車で乗せて来たみたいでした。

2日も家に泊まられたら迷惑だったのでしょう。

仕方なく今度は私がマンションの管理をしている不動産屋に連絡を取りました。

おばあちゃんが連絡しても鍵を持って来てくれないと言うからです。

すると不動産屋は、「もう風呂入って酒飲んだから持って行かれへんわ!」と言って断ってくるのです。

「タクシーで来て開けてもらえませんか?」と聞くと、「もう何回もそのばあさんには迷惑を被ってるねん!そのままほっといたらどっか行くやろ!」と言って電話を切られてしまいました。

仕方なく住吉警察に電話をかけたところ、警察も深入りしたくなさそうで、「僕らが警察や言うて不動産屋にプレッシャーかけるのも後々何か言われたらあかん時代ですねん。」と言って断られました。


おばあちゃんは、「また別の友達の家に行ってみる。」と言って歩いて行ってしまいました。

心配で、夜の9時頃に110番の方に電話をして、「もしも徘徊して迷子になってるおばあちゃんがいたら、隣のマンションのおばあちゃんかもしれないので、連絡だけしておきます。」と伝えたところ、やはり保護されて夜中に無事に帰れたみたいでした。


私は一人暮らしのおばあちゃんが、このままでは野垂れ死するかもしれないと思い、地域包括支援センターに連絡を取りました。

担当の方が私に話を聞きに来たちょうどその時に、またおばあちゃんが友達に送られて帰宅しており、その騒動を見てもらうことができました。

友達の方も疲れ切った顔をしていました。

とにかく不動産屋に連絡をして鍵を開けてもらってくださいと言われたので不動産屋に電話をしたら、案の定断られました。「私が取りに行くから鍵を貸してください。」と言うと、「ほなお前が今日からあのばあさんの鍵係やからな!」と言われました。

その通り地域包括支援センターの方に伝えると、私の代わりに担当の方が行ってくれることになりました。


それから私の出る幕はなくなりました。隣のマンションの部屋から何か工事している音が鳴っていて、窓を開けられないようにしている感じでした。


それ以来、ぱったりとおばあちゃんの姿を見なくなりました。てっきり施設に入ったのかなと思っていた矢先、隣のマンションにお巡りさんや救急車や消防車がやって来ました。

翌日、地域包括支援センターの方から電話があり、おばあちゃんがお風呂で亡くなっていたと報告されました。

死後3〜4日経っていたらしいです。

第一発見者は、おばあちゃんの息子さんから連絡が取れないから見に行ってほしいと言われた不動産屋のようでした。

こんなに早く死んでしまうなんて。

私は最後まで親切にしたから後悔はないけど、第一発見者になってしまった不動産屋のジジイは夢におばあちゃんが毎晩出て来そうやなと思ってしまいました。

眠れなくて眠剤飲んで自分も認知症になるのでしょう。


めぐる因果の糸車。


おばあちゃんは今頃天国でカラオケを歌いまくっていることでしょう。

明るくて歌の好きなおばあちゃんでした。

重い肉体を脱いで、自由に歌っていてね、KM原のおばあちゃん。



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