フラウボウと私
私が大学生になったばかりの頃に、妹が拾って帰ってきた猫のフラウボウ。
近所の小学生達が飼い主を探して歩いていたらしい、サバ白のメス猫。
私はその美しい柄の仔猫に一目惚れをして、どんどんのめりこんでいったっけ。
猫のI.Qテストという本が売られていて、それで調べたら、とても高いI.Qの持ち主だったフラウボウ。
動体視力もよくて、ハエが家に入ったら、もう命はなかった。壁に止まった瞬間に仕留めていたっけ。
フラウボウが5歳になる頃に、私は遠くにお嫁に行くことになった。
フラウボウは自由に外を散歩する猫だったから、知らない土地に連れていけないし、猫付きの嫁というのも聞いたことがなかったし、婚家には犬がいたから、私はフラウボウを実家に置いて嫁に行った。
新婚旅行が終わって婚家の前に着いた時、フラウボウと別れてきたことをとても後悔した。フラウボウは猫だけど、私にとっては母親みたいな存在だったのに、そのことに気がついたのが、新婚旅行が終わってからなんて。鈍い私だった。
息子が生まれて、実家にしばらく世話になった時、布団を蹴飛ばして顔にかぶる元気な赤ちゃんを守るように、布団の上から赤ちゃんの股座に丸くなって寝ていてくれたフラウボウ。
あの時は幸せだったなぁ。
初孫が可愛くて、バラバラだった家族が全員集まって、フラウボウもいて。
一度婚家に戻ったけど、次のお盆に帰省して、私はそのまま体調を崩して一年くらい実家にいた。
その時もフラウボウは息子を心配して後を追いかけ回していた。
カタカタを押して走る息子を追いかけて走るフラウボウ。今みたいにスマホで録画できてたら良かったのに。
ある日、ヨチヨチ歩きの息子が、なんと一人で玄関の扉をあけて、いつのまにか近くの貨物線の線路に入ったことがあって、その時もフラウボウが線路と家を行ったり来たり不審な行動をしてたので、近所のママさん達が見に行って、息子は九死に一生を得たっけ。
その後、私が長いこと実家にいるせいで祖母が疲れると思って、勇気を振り絞って婚家に帰る時、フラウボウは車を追いかけて縄張りの端っこまで追いかけてた。
私はフラウボウと別れるのが悲しくて、泣きながら帰って行ったっけ。
そして、その一年後に祖母が他界して、妹の家になったその家に仔犬が来て、フラウボウは忘れられた存在になって家出をした。
その時9歳。
結局、私は大阪に舞い戻ったのが、その4年後くらい。フラウボウが行方不明になってから4年も経ってた。フラウボウ13歳。
たまに探してもみつからないし、毒の餌をまく人がいたから、食べて死んだのかもしれないと諦めていたのに、3年後にそっくりの老猫を、車の窓からみた。
帰り道に探したけど、もういなくて、それっきりだった。
それがずっと気になって仕方なかったところに、例の霊感のある鍼灸師の友達にこの話をすることがあって、「フラウボウに聞いてみるから写真みせて」と言うのでみせたら、どうやらフラウボウとつながって、真相がわかった。
あの時みた最後のフラウボウは、体調が悪くて、あの場所に居れたのは最後だったと。そして、そのあとは川の土手で横になって死を迎えたんだと。
ネズミ捕りが得意だったけど、ネズミは変なにおいがするから食べなくて、虫を捕って生き延びたと。
私にずっと会いたかった、しばらく家出をして探しに行ったこともあったと。
私がこの話を信じる気になったのは、ネズミの話で、いつもネズミを捕ってくるフラウボウに、「毒餌を食べているかもしれないからネズミを食べないで。」とお願いしていたからだった。
フラウボウは、私の言うことをちゃんと聞いていたんだと思うと同時に、ひもじい思いや寒い思いをさせて済まなかったと思ったし、今、家に閉じ込めて飼っている猫達に罪悪感を持たなくてもいいかもしれないと、思えるようになった。
ありがとうフラウボウ。
フラウボウは霊感鍼灸師の友達の家にしばらく世話になるらしいから、またね。
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