隣のマンションのおじいさんの話
職場の隣のマンションに、おじいさんが住んでいました。
いつも散歩をしていて、顔をあわせるので、挨拶をしていました。
朗らかで、賢そうなおじいさんでした。
認知症の母と付き合っていた私は、そのおじいさんに不審な点があることに気がつきました。
いつも同じブレザーを着ていて、夏でもブレザースタイルでした。
初めの頃は、元気そうでしたが、だんだんと元気が無くなってきた気がしていました。
「おじいさん、一人暮らしなのかな?」と気になっていました。
しばらく会わないなぁと思い、そのマンションに住んでいる知り合いに尋ねたところ、おじいさんは部屋で倒れているところを発見されて、そのまま病院に搬送、入院となり、亡くなったと聞かされました。
知り合いがおじいさんの部屋の向かいで、2日以上みかけないので、大家さんに連絡をして鍵を開けて入ったら倒れていたそうです。
一人暮らしでしたが、倒れたことで家族がいることがわかったそうです。
立派な息子さんや弟さんがいたらしいのに、おじいさん、どうして一人暮らしだったのかな?と可哀想になりました。
みんな人には言えない事情があって、孤独に暮らしている人がたくさんいるのです。
私は挨拶しかしていなかったことを後悔しました。
もう少し踏み込んで、何か助けられることはなかったのかな?と思いますが、私自身が生きるのに精一杯で余裕がなくて、不審に思っても深く立ち入らないようにしていたことは確かです。
こんな風に、他人だから、助けたくても助けられないことがあることを知りました。
おじいさんの部屋が整理されて、トラックが処分のために来ていました。
マンションの前には傘が30本くらい出されていて、おじいさんが認知症であったことをほのめかしていました。
今度、こんなことがあったら、もう少し上手に助けてあげたいなと思います。


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