徳島での幽霊体験
まあ、幽霊と言っても姿はみていないのです。
音だけの幽霊でした。
私は当時中学生で、脊柱側彎症になっていました。
徳島大学付属病院の整形外科で画期的なコルセットが発明されたとかなんとかで、新聞記事を読んだ母に連れられて、徳島までフェリーに乗って行った時の話です。
いつもながら行き当たりばったりが好きな母は、徳島のホテルを予約するでもなく、「行ったらどこかに泊まれるはずや。」などという安易な考えの元、夕方のフェリーに乗り、着いたのは午後8時ごろ...
まずは何か食べるぞと料理屋に入り、焼き魚定食などを食べた後、午後9時ごろから泊まるところを探し出す始末。
ところが、徳島の駅前に当時ホテルはそんなになくて、数件のホテルを回りましたが、すべて満室と断られました。
もしかすると、家出親子とか思われてたのかもしれません。
最後に入った旅館と名のつく5〜6階建てのホテルに、一つだけ空いていると言って通された部屋での出来事。
その旅館は、玄関を入ってロビーのようなところの向こう側に吹き抜けの階段があり、そこを登って三階の部屋が私たちの部屋でした。
6畳一間で押入れがありました。押入れは奥行きが三角形でした。部屋の入り口からみて左側に押入れがあり、入り口の真正面に窓があり、窓には障子が閉められていました。
部屋に入ってすぐに押入れからネズミが走り回るようなドタドタっという音がなり、嫌な予感がしました。でも、古い旅館だから、ネズミがいるのだろうと母と話しあって、寝ることになりました。
洋服を脱いで旅館の浴衣を着て布団に入り、電灯を消してしばらくしてからのことです。
窓の外から、人の話し声がするのです。
三階なのに、人が窓のすぐ横で話しているような感じで聞こえてくるのです。
「変だな〜。」と思いながら、ビルの反射で何処かの声が跳ね返って聞こえているのかもしれないと思い直し、また寝ることにしました。
ところが、話し声の人数がどんどん増えていくのです。
最初は2人くらいだったのが、最終的には10人くらいがワイワイガヤガヤ...
それで、思いきって、障子をガラッと開けて外をみました。窓の下は道路で、人っ子一人いませんでした。向かい側にも誰もいませんでした。
その瞬間、声はピタッとやみ、朝まで聞こえませんでした。
朝、旅館を出る時にロビーで清算をしていましたら、なぜか従業員が3〜4人、奥から出てきて別に挨拶をするでもなく、私たち親子をジーッとみていました。なにか不気味なものをみるような感じで。
こちらの方が不気味でしたが。
そのあと徳島大学付属病院に行きましたが、私は熱を出し、診察を終えて夕方、フラフラの状態でフェリーに乗って帰ってきたという...


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